「れんらくアプリ」は働き方改革の重要項目である、在校等時間の削減の一助として機能しています。
皆野町教育委員会
指導主事兼主幹 山中 崇様
その他の導入実績
埼玉県皆野町教育委員会では、2022年9月から町内にある町立の小学校3校、中学校1校、幼稚園1園に「れんらくアプリ」を導入して活用しています。教員の働き方改革に取り組む中で、教員の負担軽減に資する取り組みの一環として、皆野町では「れんらくアプリ」に着目しました。皆野町教育委員会 指導主事兼主幹 山中 崇様に「れんらくアプリ」の導入と活用について詳しくお話を伺いました。
目次
「みなの学」と名づけ子どもたちの教育の質を担保しよう
皆野町について教えてください。
埼玉県皆野町は、四方を山々に囲まれた秩父盆地の一角に位置し、山林を渡る涼風、荒川清流の水辺など、自然の豊かさに常にふれることができる素晴らしい町で、長瀞町と秩父市という観光地の間に位置しています。各地のお祭りで踊られている、秩父音頭の発祥の地でもあり、金子兜太という俳人が出た町で、俳句の町としても非常に有名です。関東の吉野山と呼ばれている美の山公園の桜も有名ですし、自然豊かな隠れた観光名所でもあります。
教育委員会としては、そういう歴史、伝統、文化、そして企業とも連携をしながら、「みなの学」と名づけ、子どもたちの教育の質を担保しようと取り組んでいます。子どもたちは自然豊かな環境のもと、歴史や伝統、文化に触れながら質の高い教育を受けてもらえるよう努力を続けています。また、2023年度からは小学校、中学校の給食費の無償化も実現しています。
働き方改革の目的は子どもたちに資すること
皆野町では2022年9月よりVISH株式会社の「れんらくアプリ」を活用しています。導入の背景について教えてください。
皆野町はもちろんのこと、埼玉県、文部科学省をあげて学校教員の働き方改革に取り組んでいます。教員の負担軽減に資する取り組みを、教育委員会として何かできないだろうかを検討している中で、VISH株式会社の「れんらくアプリ」を使った取り組みに着目して、連絡を取らせてもらいました。
教員の働き方改革に取り組むための一つのツールでもあったのですね。
そうですね。働き方改革の目的は、教員の負担が軽減すると、教員が子どもたちと向き合う時間、そして自分自身と向き合う時間が増えるわけです。プライベートも充実して、仕事も充実する。ワークライフバランスが充実した、元気な姿で子どもたちの前に立つと、子どもたちも元気になります。子どもたちと向き合う時間が増えれば、子どもたちと先生との信頼関係もきちんと構築されますし、保護者への対応もしっかりとできます。子どもたちに資すること、ここがまず原点ですし、このための働き方改革なのです。
教員の負担軽減とのことですが、具体的にはどのような課題があったのでしょうか。
毎朝、保護者からの欠席や遅刻などの連絡を電話で受けていました。小中学校では教頭が中心となってその対応を行っています。受けた連絡は担任教員に伝えられます。本来はその日の授業の準備などを行うための時間が、欠席などの連絡の時間になってしまうのです。またインフルエンザなどの流行期は欠席者も多く、教頭だけでなく事務職や手の空いている教員もその対応に追われていました。
また、欠席届に記入して提出する欠席の連絡方法もあります。欠席する際、欠席届を保護者が書き、兄弟がいれば兄弟が、いなければ登校班の上級生に渡して学校に届けてもらいます。ただ、途中で紛失したり、職員室の担任の机においても紛れてしまったりと、渡した・受け取っていないというトラブルになることもありました。
ですから、働き方改革と言いましたが、まず、この毎朝の欠席連絡を電子化できないかというところが出発点です。
町立の小学校3校、中学校1校、幼稚園1園に導入
「れんらくアプリ」はどのようにしてお知りになったのですか。
インターネットの検索ですね。そこで「れんらくアプリ」を含む複数のシステムを比較検討しました。比較したのは操作性とコストの部分です。その上で、欠席連絡の電子化だけでなく、お知らせの機能やアンケート機能などを持つ「れんらくアプリ」が一番適しているのではないかと考え、2022年4月に資料請求を行いました。連絡の翌日にはデモを行ってくれましたので、そこで改めて使い勝手や機能面の確認を行いました。そして6月に9月、つまり2学期からの運用開始で契約を結びました。
このとき契約したのは、小学校3校、中学校1校、幼稚園1園、そして教育委員会用のアカウントです。
「れんらくアプリ」を導入した決め手を教えてください。
1. 欠席・遅刻連絡の電子化
最初の目的である欠席・遅刻連絡をアプリを使って電子化できることです。これにより、朝の電話連絡対応がなくなることを期待しました。また、保護者も朝の忙しい時間に学校に電話をかける手間が省けます。そして紛失など不安定な面もあった欠席届を廃止することができると考えました。
2. お知らせ配信、アンケート機能によるペーパーレス化
学校から保護者に向けてたくさんのお便りを配布していました。そのお便りをPDF化して配信できる機能もありますので、学校が取り組んでいるペーパーレス化の一助になると考えました。また、アンケート機能は保護者の集まりの出欠確認など幅広く使うことができますし、出欠などは自動で集計されます。子どもたちを通じて紙を保護者に届け、その紙に記入して子どもたちを通じて提出、そして集計するといった手間が削減されると考えました。
3. 登下校に協力してくださる地域の方たちにも連絡できる
登下校では地域の方たちが見守りで協力してくださいます。その方たちにも連絡できるというところが非常にいいと思いました。たとえば学校行事が急に入って今日は登校がない、臨時休校ですという場合、肝心の地域の方たちへの連絡を忘れて、お叱りを受けることもありました。「れんらくアプリ」は保護者だけでなく、地域の方たちに連絡できる点は大変助かると思いました。
4. 手厚いサポート体制がある
導入前から丁寧な説明とサポートがありました。これは契約後ですが、導入校との打ち合わせや操作説明会、各種マニュアルの提供など、細かなフォローもしていただきました。もちろん、実際の運用での疑問などに対しても丁寧で手厚いサポートをいただいています。
5. 利用料金がリーズナブル
皆野町も小さな自治体ですから、財源には厳しい面もあります。その点「れんらくアプリ」はコスト的にもリーズナブルで、補正予算などを組んで対応できる範囲でした。もちろん、埼玉県をあげて働き方改革に取り組んでいるという後押しもありました。
「れんらくアプリ」の導入はスムーズに進みましたか。
皆野町では、2022年9月、2学期から運用を開始しました。その準備のために、夏休み中に各学校との運用の打ち合わせと、教員への操作説明会を行いました。こうした導入準備についても、VISH株式会社は丁寧にサポートしてくれました。
保護者にアプリをインストールしてもらうことについてもスムーズに進みました。なにか問い合わせなどがあるのではないかと少し危惧していましたが、特に問い合わせがあったとは聞いていません。
教員は「れんらくアプリ」での欠席連絡を、どのようにして把握されるのですか。
教員は一人1台パソコンかタブレットを持っていますので、担任の場合は自分で自分のクラスの出席簿を見て、欠席などの把握をしています。教頭などは全校の状況も把握できますので、全体として欠席が増えているなど、季節による変動の予兆などを感じることもできるようです。
「れんらくアプリ」に対する懸念はありませんでしたか。
あえて言うなら、簡単に欠席の連絡ができることで、学校を休むハードルが下がるのではないかということは一部の声としてありました。また、不登校気味の子とか不適応気味の子の場合、電話で保護者と話して、保護者の声のトーンで状況を推察することもありました。あえて懸念というなら、そうしたケースですね。もちろん、気になる場合は、教員から保護者に電話などで連絡をいれるようにしています。
在校等時間の削減の一助に
「れんらくアプリ」の導入効果を教えてください。
1. 朝の電話連絡がなくなった
導入後、朝の電話連絡はなくなりました。教頭にとっても、担任教員にとっても本来の時間の使い方ができるようになりました。担任教員はその日の教材の準備などを行い、教室で子どもたちを受け入れることができるようになりました。教頭は朝の教員の様子を確認したり、学校内の巡視、子どもたちの様子の確認など、校内を回って把握することがしやすくなっています。また、教員の休みの対応なども職員室できちんと対応できます。教員同士、教員と教頭などのコミュニケーションも取りやすくなっていると思います。
2. 配布物にかける手間が削減された
お便りなどの電子化とメールでの配信は、各校によって進捗の違いはありますが、進んでいるようです。配布物は、それを作る手間だけでなく、印刷する手間、配布する手間、回収する手間、それを集計する手間などがかかります。「れんらくアプリ」のメール配信やアンケート機能を使うことで、そうした手間が削減されます。
保護者にとっても、「れんらくアプリ」でお便りをいつでも見ることができますので、お便りを保管したり紛失する心配もなくなります。特に集金を伴うお知らせなどは、渡した・もらっていないというトラブルにつながることもあり、確実に保護者に届けることができ、開封確認できることは助かっています。
3. 在校等時間の削減の一助となる
在校等時間、いわゆる超過勤務の時間は確実に減ってきています。埼玉県や文科省からの指針の水準にかなり近づいていると思います。これは働き方改革でいろいろな取り組みを行ってきた結果ですが、その一助に「れんらくアプリ」がなっていることは確かだと思います。
教育委員会用のアカウントはどのように活用していますか。
1度お知らせを配信したくらいで、実際にはほとんど使っていません。教育委員会としては「れんらくアプリ」というインフラを整備して、使い方は各校の裁量に任せています。ただ、欠席・遅刻の連絡だけは「れんらくアプリ」の活用をマストにしました。それ以外の機能については、各校の実情に合わせて取り組んでもらっています。
他の自治体の活用例も教えてほしい
「れんらくアプリ」の導入効果として今後期待することはありますか。
学校において教頭の業務負担は大きく、在校等時間が長いということは非常に問題視されています。マスコミ報道によれば、一般企業では管理職になりたくないと考える若い世代が増えているといいます。これは教員の世界も同様で、教頭は大変そうだから、管理職になるのはどうかと考える方もいるようです。「れんらくアプリ」が働き方改革の一助となって、教頭はじめ教員が生き生きと働く職場になれば、こうした課題の解決にもつながっていくと思われます。
「れんらくアプリ」について、他の自治体などから相談が来たら、どのように答えますか。
実際に問い合わせも来ているようです。また、いろいろな会合で、こういう取り組みを始めたと話すと、皆さん非常に興味を持たれるようです。やはり働き方改革にもつながるものですから、お勧めしたいと思います。
「れんらくアプリ」並びにVISH株式会社ヘのリクエストや期待がありましたらお教えください。
年度更新についても、先日丁寧に教えていただきました。また、こちらのリクエストなどを反映したアップデートが頻繁に行われているのは助かります。新しい使い方や他の自治体での活用例なども教えていただきたいと思います。